近未来の日本。
孤独な高齢者向けに自発的な死と共同埋葬の制度を政府が支援する、
そんな「後期高齢者が排除される世界」 を描いた、
「うちではちょっと、、、」
そう断られたときの倍賞千恵子さんの演技が、予告編のわずかなシーンだけでもグッときます。
脚本・監督の早川千絵氏は 、
「この映画は、経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く昨今の社会に対する憤りに突き動かされて生まれました。
倍賞千恵子さん演じるミチという女性の姿を通して、人が生きることを全肯定する。
そんな映画にしたいと思っています。」
と述べています。
監督がテーマにしていることが映画『マイレージ、マイライフ』に共通するものを感じました。
映画は6月17日から公開中です。
高齢おひとりさま740万人に急増、「予備軍」も700万人。
“ひとり死”が当たり前の社会が来ているといわれます。
おひとりさまの理由は、生涯独身、離婚、死別など人それぞれ。
『週刊ダイヤモンド』7月16日・23日合併号の第一特集は「ひとり終活大全」ひぇー。
おひとりさまの構成比は男性が35%、女性が65%。
つまり、『PLAN 75』の倍賞千恵子さん演じるミチというようなおひとりさま女性が、これから増えるということ。
『PLAN 75』は未来の「自発的姨捨山」のお話といったところかなと想像しました。
昔の映画『楢山節考』の物語はこうです。
亭主に先立たれた老婆おりんは、嫁に先立たれた息子の辰平の後妻を探しながら、けさ吉はじめ3人の孫の面倒を見ている。
村では、貧しい村での口減らしのため70歳になると楢山まいり(姥捨て)をする風習があった。
村の祭りの日、隣村から亭主に死なれた玉さんが後妻にやってくる。
これで心おきなくお山へいける、というおりんだったが。。。
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食糧難から子供が親を捨てる、そんな話ですが、おひとり様だと捨てる人もいない。
『PLAN 75』では、政府が自分で姥捨て山するお手伝いをしてくれるというわけです。
私は志村けんさんのコントの姥捨て山が好きです。
息子が母親を泣く泣く置いてきたのに、先に家に帰ってる。
再び山に置こうとすると、一緒に帰ろうとする。
母親のそのたくましさが、いい。
最終的に(この母親は捨てられないな)とあきらめたように、そしてどこか安堵して見える息子の笑みで終わります。
子供ながらに、きっと何だかんだで、母親と暮らし続けるんだろうなと思いました。
そこもまた、いいなと思います。