母の施設の部屋から見えるお宅のおじいさん。
不在になって随分経ちます。
「病院に入院したんじゃないかしら」と言いますが、そろそろ退院しても良いのでは?
もしかしたら施設に入所したかも。
「庭が草で荒れている」
母はおじいさんを気にしています。
「おじいさんも、お母さんに心配されてるなんて思わないでしょうね。
おじいさんは幸せね」
そんなことを母に言ったら、ふふふっと笑いました。
カニがそれを気づいていないらしいので
なおさら しみじみと・・・
ああ こんな私も私っとしていることで
誰かを喜ばせているのかもしれない
私がまるで気づかないでいるとき
いっそう しみじみと・・・
そう思うこともできるんかなあ
と私は私の胸をあつくさせた
「お母さんも、知らないうちに誰かを喜ばせているかもしれないわね」
母に言ったら、「えぇ」っと怪訝な返事でした。