施設に入所したての認知症女性に共通している「バッグを持って歩く」理由
6月に新しく、母の施設に入所者さんが何人か入居されました。
認知症とわからない程度の方から、明らかに認知症を患っていると思われる方までいらっしゃいます。
(施設からは入所さんの詳しい説明はありませんので予想です)
入所したての認知症の女性に共通しているのはバッグを持って歩くこと。
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「まだ、あと2週間はバッグを持ったままよ」
施設に入所して2年あまりの経験をもとに母が教えてくれます。
これまでは「あの人はなぜあんなことをするのか?」と不気味がっていましたが、認知症の方にようやく母も慣れました。
食堂へ行くだけなのにバッグを手放さない方。
玄関でバッグを持って佇んでいる方。
貴重品を盗まれないように持って歩いているのかと思えば、母の見解では
「家に帰りたいのよ」
なるほど、いつでも帰宅できるようにバッグを持って歩いているようです。
もちろんお迎えはきません。
入所して長い入所者さんが、
「出かけるよ、って言われてここ(施設)へ連れてこられた」
と話されていました。
その方も、はっきりしているところもあるけど概ね認知症という方。
家族も施設のことを話したところで混乱すると思ったのでしょう、半ば騙すようなカタチで施設に連れて来られたようです。
もしくは施設の説明をしたけれど、忘れてしまったのか。
そんな感じで、認知症の方はよくわからないままに施設に入所していることがあるようです。
「きっと騙されて連れてきたのよ」
母が言います。
「じゃなきゃ、あんなふうにバッグを持って帰ろうとしないわよ」
切ない。
でも、本人の症状から自宅で介護するのは難しいと判断されてのことなので、ご本人のためでもあります。
ほとんどの方が、入所されて一か月ほどでバッグを持ち歩かなくなります。
母の施設は認知症向けの施設というわけではありませんが、職員さんは、暮らしに慣れるように配慮してくれているほうだと感じます。
そうやって新しい生活に慣れていくと、バッグを持ち歩かなくなり、徘徊も減っていきます。
しかし、慣れるまで思いがけない行動をすることがあります。
先日は順番でもないのにおばあさんがお風呂に入ってきました。
男性が施設を抜け出して、ヘルパーさんが大騒ぎしたり。
母はそうしたハプニングを嫌がっていましたが、今では笑って話してくれます。
笑える範疇のハプニングだからというのもあります。
他人を笑うのは良くないかもしれませんが、母がそうした暮らしに慣れてくれていることをありがたく思います。