遠くの両親(介護保険施設)、わたしの暮らし 

脳梗塞で父が倒れ介護保険施設の生活をスタート。遠方で暮らす両親とわたしの日々


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長年利用していた、伝統の富山の「置き薬」

 長年利用していた、伝統の富山の「置き薬」

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新型コロナウイルスの影響で、「置き薬」の新規の利用者が増加しているニュースを聞きました。

 

置き薬とは、専用の引き出しケースに薬が詰まっていて、定期的に販売員さんがやってきて置き薬を補充していくシステムです。

 

使った分の代金だけを支払えばいいので、薬の買いだめをする必要がありません。

 


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実家でも富山の置き薬を長年利用していました。

 

薬屋さんが車で5分のところにありましたが、現在のドラッグストアと違って9時~17時で閉まるような個人のお店だったので、置き薬をしている家庭は普通にたくさんありました。

 

よく効く薬があって、その薬を使いたいので置き薬をしているという母でしたがそれは建前で、薬のおじさんの話が面白いんです。

 

ご近所さんもその薬のおじさんの話が聞きたいために、置き薬を利用していると母は言っていました。

 

本当かな?(笑)

 

置き薬を使っていなくても別に何も言われませんし、頼まれて置いてやってるという家庭もありました(新人の販売員にはノルマがあったようです)

 

薬のおじさんは予約して訪問するでもなく「こんにちは」とある日突然、抜き打ちのようにやってきます。

 

置き薬を整理している間、母は玄関先で薬のおじさんと長話。

 

私がひょっこり顔を出すと、小さい頃は風船で犬を作ってくれて!私も薬のおじさんの大ファンでした。

 

今から考えると、薬のおじさんは芸達者だったなぁ。

 

その薬のおじさんが引退し、次の薬のおじさんになったときは「話がいまいち」と解約してしまう人も多かったようですが、母は気に入ってる薬もあるからと、続けていました。

 

そのうち担当者が面白いおじさんに代わり、母が仕事を辞めてからはますます薬のおじさんと話をするのを楽しみにしていました。

 

「いろんなことを知っててね!すごく面白いのよ~」

 

具体的な内容はわかりませんが、いつもそう言ってました。

 

母は施設に入所する直前まで利用していました。

 

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薬のおじさんは訪問の予約をしませんから、施設に入所する前の訪問が無くて、結局、母の携帯に電話がかかってきて、施設まで取りに来てもらいました。

 

まったく嫌な顔をせず「この辺も置き薬に回ってますから」

 

母が言うには、薬のおじさんは感じの良い人しかいない!

 

「厳しい面接があるんじゃないかしら。もし嫌な人が入ったとしても長続きしない世界よ」

 

薬のおじさんは、3日~1週間ほど泊まりこんであちこち置き薬に行って富山に帰っているそうで、私は(本当に富山の薬なんだわ!)とびっくりしました。

 

実は富山の置き薬というのは建前で、この周辺の薬屋さんだと思っていたのです。

 

今でこそ高速が通って便利になりましたが、昭和のあの下道を通らなければならない時代も通ってらっしゃったんだなぁ。

 

当時は道が悪いところも多く大変だったと思います。

 

「崖崩れで迂回してきました」って言ってたことあったもんなぁ。

 

あんな田舎を一軒一軒回ってらっしゃるってすごいことだわ!

 

 

ところで母が気に入っていたのは、その置き薬でしか買えない栄養ドリンクです。

 

これだけは毎回、1ケース単位で注文していました。

 

そこそこ高価な栄養ドリンクだったのですが、父が脳梗塞になるまで大病を一度も患ったことはありませんし、母も糖尿病にはなったものの、入院するようなことはありませんでしたから、効果があったのかもしれません。

 

私が実家を出て、たまの帰省をすると父がその栄養ドリンクを「飲め」とくれたものでした。

 

置き薬のニュースを聞いて、ノスタルジックに浸ってしまいました。