C子さん(認知症)が廊下で座り込んでいた。その理由とは?
C子さん(認知症)が施設の廊下で座り込んでいた。
「どうしたの?」
母が声を掛けると、
「転んで、ひとりで起き上がれない」
手すりを使って起き上がるように促すけど、起き上がれない。
そこへ入所者・D男さんが通りかかったので、
「ちょっと起こしてあげてくれない?」
母はお願いしたらしいけれど、体に障害があるから無理、と断られたらしい。
D男さんも高齢者で、施設に入所しているくらいだから、他人を助けるのは無理だろう。
母はヘルパーさんを呼んで、C子さんを起こしてもらった。
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「なぜ、C子さんが転んだか、私わかるわ」
母が言います。
「歩行補助具(歩行器)をトイレに忘れたのよ」
C子さんは手を洗ってトイレから出るとき、認知症なので歩行補助具を忘れてしまったのです。
歩行補助具とは、
杖など歩行時に使用される自助具のことです。
C子さんはキャスターがついてるタイプを利用しています。
施設ではこのタイプの歩行補助具(歩行器)を利用している入所者さんも多いです。
C子さんは数歩程度なら歩けます。
それで、認知症も相まってついつい歩行補助具(歩行器)を忘れてしまうみたい。
そして「転ぶ」というか、へなへなーっとしゃがみ込んでるのかもしれない。
C子さんだけでなく、他の認知症の入所者さんで歩行補助具(歩行器)を利用している人が、同じようにしゃがみ込んで、起こしてもらうのをじっと待っていることがあるそう。
老人施設だから良いけれど、高齢者のひとり暮らしで起き上がれなくなったら、そのまま衰弱死することもあるよね!?
「他の人が部屋から出てきて、”大丈夫?”って声は掛けるけど、みんな認知症だからヘルパーさんを呼ぶって思いつかないのよ。
まぁ、心配してもらえれば、そこに座ってても寂しくないだろうけど」と母。
ナースステーションのような、職員の誰かがフロアに必ずいるようになっている施設もありますが、この施設には1階にしかありません。
ヘルパーさんや職員が気が付くまでに時間がかかります。
今後、C子さんにケガの恐れがある場合などは、施設から別の施設を提案されると思います。
「自分で起き上がれないなんて困っちゃうな!と思って運動している」
と母が言ったので、このことを父への手紙に書いたらいいんじゃない、とアドバイス。
ヘルパーさんを呼んだ母を褒めました。