『エマ 恋するキューピッド』を見ました。
ジェイン・オースティン原作と言えば、恋愛。
BBC制作の海外ドラマ『エマ 恋するキューピッド』を見たら、ちょっと意外でした。
恋愛に間違いはないんですが、エマがなぜ恋のキューピッドに夢中になるのか、その理由に深いモノを感じたのです。
エマは生まれ育った土地から一度も出たことがありません。
エマの父が極度の心配性で、エマは父を安心させるため出かけないのです。
エマになったつもりで、結婚を考えてみます。
もし、エマが結婚することになったら、家を出ることになります。
そうなると、お父さんはひとりになりますよね?
心配性の父をひとり残すなんてできっこない!
(婿養子という方法もあるかもしれませんが、エマは父からの財産を引き継いで一生暮らしには困らないので、生涯独身でいると周囲に触れ回っています)
つまりエマは、はじめから恋愛をすることを諦めていると思うんですよね。
恋のキューピッドで、疑似恋愛を楽しんでいるのではないでしょうか。
「エマ」は不朽の名作なので、ネタバレしてもいいですかね?
※以下、ネタバレ注意
最終的に、エマに好きな人ができます!
けれども相手に「結婚できない」ワッっと泣くんです。
もちろん、父のことで。
エマは誰にも吐露してきませんでした。
それだけにエマの振る舞いの明るさが眩しい。
私、ホロッときました。
実家の田舎で、ひとり娘の友人が、親のことを考えて「婿養子でなければ結婚しない」と決めていたことを思い出していました。
結婚すると、もれなく親がついてくる。
なかなかそういう条件のところへ来てくれるお婿さんがいない。
それにお婿に来てくれるなら誰だっていいわけでもなく。
友人は言いませんでしたが、ひとりでそうしたモヤモヤを心に抱えていることは、実家の田舎のひとり娘なら普通のことで、とても苦しかったと思います。
それに当時は今よりも「結婚はまだ?」という攻撃が激しくて、友人は肩身が狭そうで、ようやく良い人が見つかって結婚したときはホッと肩を撫で下ろしました。
エマが父のそばに居たい、と思う心は本当で、
父のことを重みに思っていることもないのに、
いざ結婚を目の前にすると、父の存在がハッキリ言って邪魔で、
そのように少しでも父のことを感じる心が苦しい。
世の中には、親の介護で結婚を諦める人もいて。
それが「昔はそうだったんだよね」ってなる日はいつになるのかな。
そんなことを考えました。
幸いにもエマにプロポーズした男性は、エマの事情をよく理解していて、解決案を提示します。
「いいの!?」
エマは驚くやら喜ぶやら。
エマが幸せそうで、見ていてうれしくなりました。