玉川上水緑道の樹木守った住民の声 渋谷区が方針転換、伐採予定の8割残す
沿道の街路樹を廃止する自治体が多いなか、渋谷区では残すことに成功したニュースがありました。
すごい。
東京都渋谷区は、地下水路となった玉川上水の上の緑道(笹塚-代々木、2.6キロ)の再整備で、当初伐採を予定していた樹木158本の状態を再調査し、8割以上の134本を残すと決めました。
方針転換には「木を残して」という住民たちの働きかけがありました。
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玉川上水緑道の樹木守った住民の声 渋谷区が方針転換、伐採予定の8割残す 今後は維持管理が課題:東京新聞 TOKYO Web
どうやって残すことができたのか?
ポイントは専門家に相談したことだと思いましたが、どうでしょう。
伐採に反対してきた「玉川上水緑道利用者の会」から相談を受けた千葉大の藤井英二郎名誉教授(環境植栽学)は、昨年6月に現場を視察。
伐採が必要な樹木はほとんどなかったと確認した。
会は藤井さんから樹木の管理方法を学ぶツアーなどを緑道で開いてきた。
会の高尾典子さん(58)は「自分も含め、議会へ行ったこともなかった住民たちが自主的に傍聴し、他の人に議論の様子を伝えた。
他区の状況を調べたり、区に情報公開を求めたり、皆で手を携えて取り組んだ」と振り返る。
昨年9~10月の区議会定例会では、樹木の丁寧な調査を求める請願を全員一致で採択した。
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玉川上水緑道の樹木守った住民の声 渋谷区が方針転換、伐採予定の8割残す 今後は維持管理が課題:東京新聞 TOKYO Web
渋谷区のサイトによると、
「区では、市街地における緑化政策の一つとして、みどりの保全に取り組んでいます」
とのことで、もともと緑化に積極的な姿勢であることも影響はあるでしょう。
失礼ながら「環境植栽学」を知りませんでした。
環境植栽学とは、生活環境を構成する植栽の意義や特性、植栽の設計・施工・管理の基礎となる植物・植生と気象・土壌などとの関わり、生活環境に求められるさまざまな機能、植栽の施工・管理技術について説明すると共に、それらを総合する考え方や技術について学ぶようです。
環境植栽学は生活をよりよくするために植物を利用する術を学ぶ、という感じでしょうか。
環境植栽学の藤井英二郎名誉教授は本を出版されていました。
「玉川上水緑道利用者の会」はこれらの本を読んで教授に相談されたのかもしれない。
「街路樹が都市をつくる」では、
街の木は、多彩な働きによって都市生活を支えていること、
「緑の日傘」で猛暑の路面温度は何度下がる?
日本の街路樹は、なぜこぢんまりしているのか?
など世界の街路樹事情や歴史的なエピソードも交えながら、人を、社会を、もっと豊かにする「身近な緑」の本当の魅力を伝えています。
日本では昔から、風除けのために雑木林が家の裏にあったりする家もありますね。
ところがその重要性をわからず伐採する子孫がいて、直接、日光や風が家屋に当たるようになり、家屋の劣化がはやまったり、突風で洗濯物が飛んでしまったり、いろいろ困ることがあるようです。
母の施設の近所には疎水沿いに並木があり、夏はその日陰を通って母は移動できます。
日陰を歩いた方が涼しいので助かっています。
「今後は維持管理が課題」
「今後は維持管理が課題」と言います。
樹木が健康でいられるために維持管理は必要です。
樹木のためにそんな維持費を払うのか?と思う住民もいるかもしれません。
しかし、炭素固定や大気の浄化作用によってもたらされる資産価値を推定できたらどうでしょう。
アメリカで樹木の価値推定ができるシステム「i-Tree Eco(アイツリー・エコ)」があります。
「i-Tree Eco(アイツリー・エコ)」は 樹種や木の高さ、幹の太さ、周辺の環境などを入力することで、これまで統一的に評価することが難しかった大気の浄化作用や集めた二酸化炭素(CO2)や雨水の量など、どのくらいのメリットをもたらしているのかを資産価値として推定できる。
リンク i-Tree Eco
見えない価値を数字で示してくれます。
しかし、維持管理で自治体が懸念するのはその費用ですよね。
維持管理費用の支出が大きいため、伐採してしまえばゼロ円じゃん!と短絡的に考える自治体もあるようです。
大阪城公園では15〜17年度、商業施設を建設するために約1200本が伐採された。
市は大阪城公園を「世界的観光拠点」にすることを目指して、運営を民間に委託。劇場などの商業施設が建設される際に大量の樹木が伐採された。
公園の維持管理も各自治体の重荷になってきた。
国の後押しもあって、公園管理の民間委託は全国で進み「稼ぐ公園」をキーワードに開発が行われている。
ニュース 大阪市で進む「樹木1万9000本」大量伐採計画 市は「安全のため」というけれど…真の狙いは?:東京新聞 TOKYO Web