母と仲良くしてくださっているSさん。88歳。
はっきりものを言う人だけれど、人の悪口は言わない。
そんな性格が母は好きだと言います。
Sさんは施設に長年住んでいるので、いろいろ知っていて、いつも母にアレコレ教えてくれるので、とても頼りにしています。
昨晩に騒がしいなぁ、と気になっていたこともSさんに聞けば、何号室の誰さんが救急車で運ばれた、など何でも教えてくれます。
それだけでなく、Sさんは自分の話をするのが好きなようで、働いていたときの話や、息子さんの話をしてくれて、それが面白いのよ、と。
ただ難点はSさんは耳が遠いので、一方的に話を聞くだけになってしまうこと。
「いいのよ、私は聞くほうが好きだから」と母は言っているけれど。
ある日、食事をしているとSさんと、同席しているFさんが会話をしている内にケンカに発展!
母はSさんを追いかけて「Fさんは認知症だから、あんなことを言われても気にしては駄目よ」と慰めたそうです。
でも「あの人が認知症なんて信じられない!あんなことを言うなんてひどい」とSさんの怒りはおさまりません。
一週間近くお互いに会話をしない日が続いて、母は食事中「気まずい」と話していました。
ふとSさんが「今日は〇〇かしらね?」と誰に言うでもなく質問したところ、Fさんが「〇〇〇」と答えたのですが、全くとんちんかんな答えで、ようやくSさんはFさんが認知症なんだ、と理解したようです。
けれど、やっぱり許せないらしく、ふたりはほとんど口を聞かなくなりました。
長く暮らしてくると、口を聞かない仲になることはあるらしく、たった食事の時間を共にするだけとは言え、トラブルはつきものなんですね。
母の施設では認知症の方だけを集めた席があるのですが、ときどき隣の席の人のご飯を食べてしまうことがあるそう!
「あっちの席はいつもトラブルが何かあるから大変よ」
他の人がボロボロご飯をこぼしたり、失敗しながら食べているので、母は緊張せずにご飯を食べれているようです。